女子大生セオム(バイクタクシー)?

私は一人で、店で使う食器を購入する為にハノイの街をぶらついていた。

朝、10時くらいに街へ出たが、1:30に、ホテルで鈴木さんと約束をしている。

ホテルから歩いていける、いつも購入しているハンザ市場へ行けばいいと思っていた。

しかし、今回の旅行で、何度かハンザ市場の前は通り過ぎてきたが、なにやら改装しているような雰囲気があったので心配ではあった。

以前はとても古く、ぼろい建物で、市場前もごちゃごちゃしたバイクや人であふれるの市場だったのだが、外見もキレイになっていたし、入口から見える市場内は、市場というよりショッピングセンターのように見えていた。

しかし、建物の壁には「チョ ハンザ」とベトナム語で書かれていたので、ハンザ市場には間違いないはずだと思いつつ、心配しながら入ってみた。

しかし、その一階は、きれいな内装に改装されてはいるが、薄暗く、物寂しい雰囲気で、きれいな洋服やバッグが並べられてはいたが、客はいなく、エスカレーターで2階に上がってみると、改装中で、どこもやっていないし、奥にも入れなかった。

なのであきらめて外に出て、とりあえずホアンキエム方面へ行けばお土産屋も多いし、ドンスォン市場に行けばあるかな〜なんて思いながら道を歩いた。

今日は日差しが強く、なかなか暑い。

早くしなければ、時間がなくなってしまう。どっちへ行こうかな〜と地図を見ながら道端に立っていると

「お兄さん、どこ行くの?買い物?私は学生だけど、今日は休みだから、私が案内してあげる。どこ行きたいの?」

と、いきなりバイクで私の近くに寄って来た若い女の子が、話しかけてきた。

私はちょっとびっくりしたが、このあきらかに怪しい女性をジロッと見た。

「お兄さん、日本人?私は学生だよ。今日は暑いし、歩いて一人で買い物は大変だよ。私のバイクに乗りなよ。どこでも案内してあげるから」
と、聞きやすい英語で話しかけてくる。

ホーチミンやダナンで男性のバイクのおじさんにこう話しかけられるのはよくあったし、その度に無視をするのがお決まりだが、最近のハノイでこうやって話しかけられるのも 珍しい。しかし、見た目普通の女性に話しかけられるのは本当に珍しいなぁ。まさかホンダガールではなさそうだし。なんだろう。何が目的だ?

化粧っけがなく、服装もジーンズにシャツと素っ気ないが、

身長が170くらいはあり、スタイルはよい。化粧をきちんとすれば、かなり美人になるかもしれない。

「なぜ?あなたは何のために私を案内するの?」

「終わったらお金をちょっとだけくれればいい」

「いくら?」

「それはあなた次第。あなたが決めて。最後にね」

まあ、時間もないし、正直どうしようかって感じだったし、この女の子にひっかかってやるのも面白いかもしれないなと思った。

「OK.じゃあ、連れてってくれ」

「はい。じゃあ、これヘルメット。ここは暑いから早く乗って。むこうで話しましょう」

とバイクに乗って、日陰のところまで行く。

「どこに行きたいの?」

「ヌクマムを入れる入れ物。なんと言ったらいいのか、Nuocmam pot? Nuocmam bottle?」

私は醤油差しが欲しかったが、なんと言えばいいのかわからなかった。

「なぜ?なんでそんなもの欲しいの?」

「私は東京でベトナム料理屋をやっているから」

わかったと言って、バイクを走らせていく。どんどん中心から離れていくので、ちょっと心配になってきた。
本当にわかったのかな?連れていかれたところで男性に取り囲まれるなんてこと、ないよな・・・
まあ、ハノイでそんなことはないか・・・

っと考えながら、連れて行かれたのはスーパーマーケット。

うん?やはりなんか勘違いしていないだろうか。こんなとこで売っているのかな。

「ほら、ここよ。ここにたくさんあるわ」
そこには、いろいろな種類のヌクマムが売られている。

「いや、違うんだよ。ヌクマムではない。なんと言ったらいいのか。ボトルだよ。入れ物だよ」っと、ジェスチャーを交えてなんとか説明するが、なかなか伝わらない。

そこで、私は地球の歩き方を出し、そこに載っているベトナム語の単語で使えそうなのを探すその中に食器という単語があったので、それを指差す。

そうしたら伝わった。

その後街の食器屋に連れていかれるが、そこで売っているのは洋風の白い磁器食器。

こういうのじゃないと説明するのもなかなか難しく、そこで

「バッチャン、バッチャン」と、説明するとわかってくれたようだ。

そこで、女の子は店員にバッチャンはどこかで売ってないか聞き、その店にも行ってみたが、醤油差しはない。
私は困ったが、女の子はその店で情報を聞いたから大丈夫だと言う。

バイクで走りながら

「あなたの名前はなんていうの?」

と、聞かれたので、ファーストネームを教えてみた。
「タカ」

すると、

「バカ?・・・バカ?」
やばい。わかりずらいか・・・そんなふうに呼ばれたくない。

「モギ。モギだよ」

「モギ!モギ!」

「あなたは?」

「ミン」

バカと言い間違えられたくないので、無難なモギにしておいた。

そうして連れて行かれたのが、ハンザ市場。

「あれ、ここハンザ市場じゃないか、ここ、私は一度来たよ」

「え?あなた今日ここに来たの?」

「うん。しかし、売っていなかった。でも、どこかで売っているのかなぁ・・・」

「ふーん。まあ、行ってみよう」

ってことで、バイクを市場の裏に置き、そのまま裏口から市場の中へ入る。

そうすると、さっきの表側とは別で、市場らしい小さな店が営業している。

やはり建物の途中から壁でむこうには行けないようで狭いが、市場のようである。

ミンはそのへんにいる人にどこで食器が売っているか訪ねたようで、

「地下だ」と行って、一度外にでて、地下への入口階段を下りていく。

そうすると、市場がそこにはあった。

「そうか〜気づかなかった。裏口から地下に入ればよかったのか。しかし、そんなのわからないよ」

「そうね。私のおかげね。」

ミンは自分が役に立ったことに満足してそうだ。

食器屋は6店舗くらい並んでいる。

私は一番手前の店に行き、まずはここからすべての店を見たいと思ったのだが、そこに座らされる。

「ミン、俺はここで座るより、全部の店を見て回りたいんだが」

「いいから、ここでまず相談して、それから見に行こう」

と言う。

「こういうのが欲しい」

と言うと、いろいろと出してくる。店員のおばちゃんは、まわりの店をまわってこれはどうか、これはどうかといろいろ持ってくる。他の店のおばちゃんも手伝っている。

「この柄がいいな。じゃあ、これ20個と、これ20個欲しい」
私は英語と日本語を混ぜて話しかけるが、市場のおばちゃんも観光客に慣れているので、普通に通じる。

おばちゃんはあちこち行っていろいろ探している。しかし、

「3個しかない」

「はぁ?・・・3個? 」
これだけ店あるのに、在庫ないのかよ。
「じゃあ、こっちの柄は?」

とまたあちこち行って、探している。
他の店の店員も総動員で、入れ替わり立ち替わり、いろいろ持ってくる。

「こっちではどうか、これはいらないか?」と、必要ないセールスもたまにある。

「これは20個ある」

「じゃあ、それと、あとは」

もう20個もある柄はなさそうで、バラバラに探すしかない。

「じゃあ、それでいくら?」

「1個40000ドンで、40個で1600000ドン」

400000ドンってことは約200円弱か。高すぎだな。こんなの50円だろ。

「高い。100000ドン」

「300000ドン!」

「100000ドン」

「2400000ドン!もうこれ以上はまけられない」

「じゃあ、200000ドン。これ以上高いなら買わない」

店員は首を振りながらあっちへ行ってしまった。

ミンを見るとそれでいいよと言う。

ミンは自分が履いている靴をいじりながら

「ねえ、私の靴もうぼろぼろでしょ。これは韓国製でいい靴なの。日本製と韓国製はいい靴。中国製はダメ。ベトナム製もダメね」

「ふーん。なるほど」

「ねえ、私、靴が欲しいの。あなた今日、靴を買ってくれない?」

「え?・・・いくら?」

「1400000ドン」

え?ってよくわからんな。ベトナムのお金は単位が大きくてよくわからない。

「7ドルくらい?」

「そうだよ。いい靴だよ」

「7ドルならいいよ。」

「そう、ありがとう」

「おばちゃん、この楊枝入れも欲しいな。10個ちょうだい。いくら?」

「25000ドン」

「20000ドンにして、全部で50個で1000000ドンでいいね?」

またおばちゃんは首を振りながら向こうへ行ってしまった。

ミンはそれで大丈夫だと言う。

50個買って、5千円くらい。今日の店の売上は私だけで成り立つんじゃないかなぁなんて考えながら、ミンと外へ出ていく。もう時間は1:30になっている。

急がないといけない。

「ねえ、私ここで靴買いたいから、お金ちょうだい」

「え?ここで?まあ、いいか」

財布を取り出し、いくら渡せばいいのか考えていると、ミンは財布の中にあった1万円札を抜こうとする。

「ダメだよ。それは」

「だってあなた靴買ってくれるって言ったでしょ?」

「えぇ? だって7ドルでしょ?」

「違うよ。70ドルだよ」

「70ドル?高すぎだよ。そんなの買わないよ」

「あなた買ってくれるっていったでしょ?」

「たった2時間案内しただけで70ドル?」

「3時間よ」と、時計を見ながら言う。

「ダメだよ。じゃあ、これだけね」

と、私は200000ドンを渡した。

「こんなんじゃ靴買えないよ。韓国製の靴が欲しいんだよ」

と、今度は千円札を抜こうとする。

「ダメだよ。じゃあこれだけ」

と、さらに100000ドンを渡す。

それで私はそのまま帰ろうとすると、ミンはあきらめたようで、バイクのところに行った。

そして私にヘルメットを渡し、乗るようにと言う。

ゆっくりとバイクを走らせ、ホテルに向かう途中も、

「ねえ、ホテルまで送ってあげるんだから、さっきの千円札ちょうだい」

「はぁ?」

「だってガソリン代もかかるし」

「別に送ってくれなくてもいいよ。降りるから、そこに止めてよ」

しかし、ミンはそのままバイクで走る。

「ハイ、到着。じゃあ、100000ドン返すから、千円ちょうだい」

「わかったよ」

と、私は千円札を渡し、ミンから100000ドンを受け取った。
日本のお札が欲しかったのかな。

「気をつけてね。いい旅を!」
っと、ミンはややさみしそうに言ってきた。
案内時間も短かったし、お金もそれほど稼げなかったのかな。
 

「そっちも勉強がんばってな。ありがとう」

結局のところ、やはりぼったくろうとされたことに、少し気持ちが悪い部分があったが、2千円くらいで案内してもらえて結果的に助かったからよかったのだと思う。

ミンが本当に学生だったのかどうかはわからない。ハイフォン出身で、なんとかいう有名な大学で勉強していると言っていたが、
本当は夜は違う仕事をしていて、昼間の割のいいアルバイトなのかもしれない。
歩き方が、学生にしては堂々としすぎているようにも見える。
英語が流暢なので、日本人や韓国人観光客を狙っているのだろうか。
しかし、女性一人で外国人男性をターゲットにするとは、なかなかたくましい。


ホテルのロビーで待たされていた鈴木さんに

「鈴木さん、遅れてすみません。ちょっといろいろあって」

「またですか?もういい加減にして下さい」

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  • 2015/03/04 9:41 AM
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  • 2014/05/12 11:46 PM
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