AM5:00
真っ暗闇のなか、ホイアンの街外れの住宅地。
舗装されていない入り組んだ細い道を、車で入れるところまですすみ、そのまま路地に乗り捨て。
そこから徒歩ですすみます。
ホアン「ここです。もう作業は始まってますね」
暗いなか、人影が見える中へ入っていくと、作業をしている人が見えてきました。
シンチャオ~っと笑顔で声をかけると、みなさん笑顔で迎えてくれました。
どうから、作業開始はAM1:30からで、我々は作業の終わりの頃に呼んでくれたようです。
こねこねしてる人が主人らしいので、私はホアンさんに通訳を頼み、話しかける。
茂木「これに使っているのは、なんの水ですか?」
主人「普通の水です。原料は米と水だけです」
茂木「普通の水?普通って、水道水?」
主人「いえ、水道水は飲めませんから、この場所の井戸の水を使います」
茂木「Bale Wellの水じゃないの?」
主人「以前はBale Wellの近くだったので、その水を使っていましたが、今は移転して、ここの水を使ってます」
茂木「ここの水で大丈夫なの?」
主人「仕方ないです。でも大丈夫です」
茂木「なんで色が茶色くなるの?」
主人「これは木炭を使います」
茂木「え?木炭・・・ああ、灰汁か。木炭を使った上澄み水ですね?」
主人「はい、そうです」
茂木「それはチャム島のマングローブを使うのですか?」
主人「いえ、チャム島のマングローブは保護されるようになって、今は違う木を使います」
茂木「原料は米と普通の水だけじゃないじゃん・・・」
まあ、面倒だからそう最初は答えたのかもしれませんが、聞いていくと、作り方は以前と変わっていないようです。
水もこのあたりの井戸水とはいえ、やはり特別な成分があるようです。
以前、ホーチミンに進出しようとしてホーチミンで製麺してみたが、できなかったようです。
やはり、ホイアンでしかカオラウは今でも製麺できないようです。
主人「今から今日最後の製麺を最初からやるから、どうぞ見て下さい」とのこと。
まずは、米を水に1時間つけます。
このコックから、井戸水が出てきます。
ベトナムの長粒米です。
この臼みたいな機械で、米と水ごとすり潰し、米粉水にします。
ここまでは、フォーと同じ感じですね。
それをかまどで温めながら、こねていきます。
これはまだミキサーみたいな機械がありますが、
このおじさんは、手作業でやってます。
かなり時間がかかるし、目が離せない、手のかかる作業です。
水分がとび、いい感じになったら取り出します。
それをよく機械でこねて
さらに手でも丁寧にこねて
ノシ棒で伸ばして
切って
きれいに並べる。
それを積み重ねて、
2回目の加熱。
これでやっと完成
吉野「謎が解けました」
たんぱく質を固めるためには、熱か酸かアルカリ性の物質が必要で、
豆腐ににがりを入れるのも、ラーメンにかんすいを入れるのも、その為です。
その素材が持つもともとの性質により、どの要素が必要かはかわる。
米にはたんぱく質があまり含まれていないので、カオラウはアルカリ性の物質を入れても、
思ったほどの収斂作用(押し固まる作用)は起きていないと推測される。
あのコシは、アルカリ成分によるものでなく、手でこねる作業によるものが大きいと考えられるが、
ホーチミンではうまく製麺できなかったことを考えると、収斂作用も大切なのであるかもしれないし、
もしかするとホーチミンの水は酸性で、木杯汁のアルカリ成分が中和されてしまうのかもしれない。
コシの為以外にも、茶色く変色することや、風味など、アルカリ性の水を使用する目的があると考えられる。
かつて沖縄でもそーきそばを製麺する際には、木杯汁が使われていたらしい。
ソーキそばは小麦粉だが、カオラウはそれに似ている。
アルカリ性の物質により茶色く色づく為には、茹でるのではなく、蒸す作業が必要です。
(茹でるだと、湯のほうへ抜け出てしまう。蒸すではなく、煮るでもいい)
かんすいを入れたラーメンは茹でる為、薄黄色になりますが、
(札幌ラーメンなどはクチナシで着色、九州ラーメンは自然なかんすいの色)
カオラウは蒸すので、茶色くなります。
つまり、カオラウは蒸さないとあの色にはなりません。
最後に蒸すことにより、収斂作用と変色がおきている。
※カオラウの製麺で最初に鍋で火を入れる作業があるが、あれは温度が100度までは
いかないため、そこでは収斂作用も変色もおきていない。
冷めたら袋詰めして
すぐに配達。AM6:00頃です。
おばあちゃんも買いにきました。
来てよかった。みなさん、ありがとう。
帰ってホテルで仮眠してからダナンへ移動し、漢方酒の有名店に行こっと。
JUGEMテーマ:ベトナム