ハノイから120km離れた港町、ハイフォン。
高速道路で1時間~1時間半くらいで来れる。
ハイフォンにある、バインダー製麺の集落にやってきました。
ここはそこら中に、バインダーが干してあります。
バインダーとフォーの違いは、
米を水で浸した後に、臼ですり潰して米粉水を作り、それをコンベアに薄く流し、
蒸して麺帯を作るのは同じですが、
それをさらに過熱して、半乾きにすることにより、フォーよりも固い麺に仕上げるところです。
また、水分量がフォーよりも少ないので、やはり存在感のある麺になります。
その半乾きのものが「生バインダー」と言われ、賞味期限が短いことから、ハイフォンだけでしか
食べられないそうです。バインダー製麺屋さんが言うには、「生のほうが乾燥より美味しい」とのことです。
この生バインダーを上の写真のように天日干しにし、乾いたらまた機械に入れて蒸して、さらに熱を入れる。
そしてまた天日干しを3回繰り返すという作業をして「乾燥バインダー」が出来上がります。
ハノイやホーチミンなどにこれが出荷されます。
「なぜ3回もやる必要があるの?」と聞くと、「そうやって丈夫に作らないと、割れて短くなったりしてしまう」そうです。
色が白いのと茶色いのがありますが、茶色のものはさとうきびの絞り汁ではなく、カラメルで色付けしているそうです。
ここの製麺工場は電気の機械を入れ、24時間稼働しているそうです。
途中で機械を止めると、機械内部で米粉が固まってしまったりで、
メンテナンスなどが大変だからかもしれません。
工場隣にある、オーナーの自宅で説明を受ける。
一番左のおじさんは、ここを紹介してくれた人。
ソンさんの友人のそのまた友人だそうです。
74歳で仕事は引退した身ですが、現役の頃は政府系の運転手をしていた為、
普段もこのようなお洒落な服装をしているそうです。
最初あった時は、これにサングラスだったので、「怪しいおじさんだな」という第一印象でした。
フォーは、1㎏の米で、2.7kgのフォーが出来上がります。
これに対してバインダーは1kgの米で、1.3kgのバインダーになります。
つまり、水分量が少なく、コストが高いということです。
フォーよりも、高級な麺ということになります。
乾燥バインダーは、その工程はまた大変な手間がかかるので、さらに高くなります。
価格は市場で購入すると、生バインダーは1kg 100円くらいで、乾燥は200円くらいです。
社長「今度よければ私がバインダークアを作ってご馳走しますよ」
茂木「それはうれしいですね。でも今日もぜひ食べたいので、どこか美味しいお店を教えてもらえませんか?」
社長「え?今からですか?・・・この時間はもう遅いです。どこもやっていませんよ」
茂木「ええ?・・・でもまだ朝の10時半だし、お昼前ですよ」
社長「ハイフォンでは、バインダー屋は朝の早い時間しかやっていません」
茂木「えええ?・・でも昼でも食べたい人もいるんじゃないかな?」
社長「お昼はご飯食べたいです」
茂木「はぁ?・・じゃあ、食べられないの?」
社長「はい、今は食べられません。あとは夜に販売している店ならあります」
私と吉野さんは驚いて、「ここまで来て食べられないなんて・・・そんなバカな・・・」と困っていると、
74歳のおじさんが「なんとかする」といい、近くの店に案内されました。
昼前だけど、わりとお客さんいて、みんなつまみと一緒にビール飲んでます。
カップルもいます。
吉野「あの人たちは、昼間っからビール飲んで、仕事してないの?」
ソン「はい。していないと思います。でも、お金持ちだと思います。土地がある人とか。ベトナムでは仕事をしてない人はお金を持っています。仕事をする人は、お金がない人です」
貧乏暇なしかい。日本人のこと言われてるみたいだな・・・
ベトナムでは、経済成長でチャンスをつかみ、成功した人はたくさんいますが、
今の日本でそのような話は、ほとんど聞きません。
この店のメニューにはバインダークアはありませんが、特別に作ってくれるそうです。
きちんとしたものが出るのか不安でしたが、1時間ほど待たされて、やっと出てきました。
これが、非常にきちんとしたバインダークアでした。
具材が多く、ぜいたくな感じです。
田蟹をすり潰してから濾した蟹みそがたっぷりとのっています。
スープはあっさりしていますが、蟹みその旨味と風味で食べごたえがあります。
バインダーは、イタリアのタリアテッレに形状が似た麺です。
独特の固さがあり、個性的な麺です。
なぜ白いのと茶色いのがあるのか聞いてみると、
もともとは白いものだけだったのだが、スープでよく煮ると、スープを吸い込んで茶色くなる。
つまり、茶色いバインダーが、美味しそうな色というイメージがついていた。
バインダークアは軽く茹でるだけなので、よく煮なくても、美味しい麺のように見えるために、
最初から茶色くなったのではないかとのこと。(真偽不明)
以前にもハイフォンの路上のバインダー屋で食べたことがありましたが、
今回のもののほうが、具材たっぷりで美味しかったです。
74歳の素敵なおじさん、ありがとう。(名前は忘れてしまいました)
今度は早朝に食べにいきます