発展途上のベトナム

今回の食べ歩きはこれで終了です。

ベトナムは経済の成長に加え、観光客の多さから生じる街の変貌などにより、素のままのベトナムをなかなか見られなくなってきている部分があります。変わって行く事も必要でしょうし、豊かになっていくことは大切でしょうが、それによって経済格差が広がったり、街の雰囲気が壊れないで欲しいですね。
帰りのダナン空港のレストランで食事をして、会計をしたら、8ドルと言われました。そこで、10ドル札を差し出したら、お釣を2万ドンくれた。2ドルではなく、2万ドン。2万ドンは120円くらいです。
「え?2ドルのお釣りでしょ」
「えへへ、ああごめんね」
と、そのウェイトレスは2ドルをだした。となりにいる別のウェイトレスも笑っていました。空港のレストランでもこんな感じだから、気をつけないといけません。
ダナンからホーチミン空港へ行き、それから成田へ向かいます。私はおみやげを買おうと、ホーチミン空港の免税店にいました。すると、商品棚の下に在庫をしまうための棚があるのですが、しゃがんでクッキーをしまっている免税店の若い女性従業員が二人いました。
そのうちの一人が、クッキーを食べていたので、あれ、さぼってんのかな?なんて思って見てたところ、その彼女、そのクッキーの蓋を閉めて、そのあと、テープで蓋をとめて、そのまましまってしまった。
私は驚いた。
市場でも中身を入れ替えている様子をみたことがありました。でも、まさか国際空港の免税店でこんなことをやっているなんて、まったくいいかげんな国だな…。
ベトナムの悪いところをあげると、本当にたくさんあります。いや、それは私が日本人だからそう思うのであって、逆に見たら、日本という国が変わっているのだと思います。日本ほどきちんとした国はないように思います。アメリカやヨーロッパの先進国でも、いいかげんな部分は多いですしね。それは多民族国家だからますますそうですし、価値観がたくさんあるのですから、しょうがありません。日本人の感覚でみたら、世界中どこの国も、いいかげんとか、おおざっぱだとか、信用できないとか、だらしないとか思ってしまうでしょうね。日本人がおかしいのです…。
ベトナム料理の魅力についての考えを少し書きます。
中国とフランスに侵略されていた影響で、それらの料理文化を引き継いでいることを強く感じます。しかし、フランス料理とは違いますし、中華料理とも違います。食材が南国ならではということもありますが、他の国の文化を取り入れ、それをこの国ならではの味に仕上げた、この国ならではの料理です。
隣国のタイとは、食材は似ていますが、味付けはまったく違います。タイ料理は南国でよくあるように、辛く、酸っぱく、甘いのが特徴で、刺激的な料理が多いですが、ベトナム料理は辛くなく、なんというか、味のバランスをきちんと考えられた料理が多いです。
トマトソースの味付けや、ビーフシチューの味付け、スパイスの使い方などは、感心させられます。まさにベトナムならでは。また、油っこいものは、生野菜をたっぷりと使い、酸っぱいたれにつけることで油を還元し、バランスよい味付けになるようにできています。肉料理を野菜で包み、さらにライスペーパーで包んで食べることなどは、それだけでたんぱく質と脂質と炭水化物、ビタミンなどの栄養をとりつつ、味のバランスもとれるという、よく考えられた料理だなと感心します。
また、食べることで健康を保つという医食同源的な考えは、子供のうちから自然と身につけられていて、例えば私が体の不調を訴えると、あの食材を使って食べるといいとか、学生の男の子でも教えてくれます。
さらに、米を主食とすることから、ご飯に合う料理が多いので、日本人に受け入れやすいです。ベトナム料理が他のどこの国の料理よりも一番日本人の口に合うとも言われています。
野菜たっぷりというイメージが強いですが、本当にそうです。
現地の食堂やレストランでは、本当に山盛りの生野菜やハーブが添えられてきます。日本ではハーブも野菜も高価なので、なかなかそうすることはできませんが、ベトナムでは当たり前に山盛り野菜が出てきます。
そんなところがベトナム料理の魅力だと思いますが、ベトナムがもっと豊かになってくれば、よりベトナム料理は発展すると思います。当たり前の話ですが、後進国なので、料理の世界だけでなく、すべての分野で遅れていると思います。ただ、今は高度経済成長期で、経済の発展とともに人々の生活も発展し、それに伴って飲食業界の競争も激しくなれば、他と違う、よりおいしいものを作り出すことが自然と必要になってくるでしょうから。
今あるベトナム料理は、発展途上のベトナム料理。温かいものは温かくだすという基本的なことを始め、よりおいしいベトナム料理がこれから食べられることを期待したいです。
私は、5年前から縁あってベトナム料理と、ベトナム人と、ベトナムという国と関わりだして、気がつけばベトナムとの関係はますます深くなってきています。それはもう、いいか悪いかわかりませんが、ベトナムを好きとか嫌いとかいう次元の話ではなく、運命的なものです。
なぜベトナムと…?
よくお客様や友人などに質問されますが、私が聞きたいです…

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